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2025-12-02 ω の立方性: t3 ≡ ω に解があるか
3 の倍数より 2 大きい素数は、次の三つのタイプに分けられる:
【ア】 9 の倍数より 2 大きいもの: 2, 11, 29, 47, 83, ···
【イ】 9 の倍数より 5 大きいもの: 5, 23, 41, 59, ···
【ウ】 9 の倍数より 8 大きいもの: 17, 53, 71, 89, ···
定理7によると、 p がアまたはイの素数なら、 t3 ≡ ω (mod p) を満たすアイゼンシュタイン整数 t は存在しない(その結果として x3 + y3 = pz3 は非自明な整数解を持たない)。
では p がウの素数だったら…? p がア・イ・ウのどれかの数のとき、 t3 ≡ ω (mod p) が解を持つためには p がウの型であることが必要だよ――と定理7は言っているが、それは必要十分条件だろうか。
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2025-12-01 x3 + y3 = 5z3 や x3 + y3 = 11z3 など
32 + 42 = 52 とか
52 + 122 = 132 とか
112 + 22 = 53 とか
103 + 93 = 123 + 13 とか
33 + 43 + 53 = 63
のような等式を眺めていると、
x3 + y3 = z3
を満たす正の整数 x, y, z もあるのでは、と感じられるかもしれない。「実際にはそんな整数の組み合わせはない」というのが、「フェルマーの最終定理の指数 3 の場合」という有名問題であり、問題の意味は分かりやすいが、証明は意外と難しい。「なぜどこがどう難しいか」を理解すること自体、難しいかもしれない。
われわれはとにかくこの定理を一応証明し、ついでに、
x3 + y3 = 3z3
x3 + y3 = 4z3
を満たすような x, y, z も(z = 0 の場合を別にすると)存在しないこと、
x3 + y3 = 2z3
を満たすような x, y, z も(z = 0 の場合と x = y の場合を別にすると)存在しないことを証明した。一方、
x3 + y3 = 6z3
x3 + y3 = 7z3
x3 + y3 = 9z3
を満たすような x, y, z は、存在する。
x3 + y3 = 8z3
については Z = 2z と置けば右辺は (2z)3 = Z3 なので、オリジナルのフェルマーの問題と実質同じ。それでは、
x3 + y3 = 5z3
はどうか?
この最後の不定方程式は、それ単体では x3 + y3 = 4z3 の場合とほとんど変わらず、それ自体としては特に新鮮味もない。けれど、より一般的な命題について、フルヴィッツ(Hurwitz フアヴィツ)はエレガントで味わい深い証明を記している。フェルマーの小定理のアイゼンシュタイン整数版や、立方剰余の理論のような重要な話題とも関連していて、研究の価値がありそうだ。
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2025-11-16 x3 + y3 = 4z3
x3 + y3 = z3 を満たすような、どれも 0 でない整数 x, y, z は存在しない――というフェルマーの定理。
その拡張として x3 + y3 = kz3 の解を考えてみたい。ここで k は一定の整数で、 k = 1 の場合が、オリジナルのフェルマーの定理だ。
第一に k = 3 の場合。 x3 + y3 = 3z3 にも、 0 でない整数解はない(定理4)。
第二に k = 2 の場合。 x3 + y3 = 2z3 についても、結論はほぼ同様(定理5)。ただし、この場合に限っては x = y = z のような別の種類の自明解が存在する。自明解を度外視して、「それ以外の解(非自明解)が存在しないこと」が、証明されるべき事柄となる。自明解が 2 パターンあるせいで、第一の拡張と比べると、技術的に少しややこしい(自明なものを除外するだけなので、本質的に難しいわけではないが)。そのため k = 1, 2, 3, ··· の順序に従わず k = 3 を先に扱った。
この k = 2 の場合の簡単な応用として、今回は k = 4 の場合にも(つまり x3 + y3 = 4z3 にも)、非自明な整数解がないことを証明する。この場合、自明解が 1 パターンに戻るので証明は簡潔になり、新たな補助命題も必要なく、一服できる。
要するに x3 + y3 = kz3 には、非自明な解がないのだろう――と予想したくなるかもしれないが、そうではなく、例えば k = 7 の場合の
x3 + y3 = 7z3
には、(暗算可能な範囲に)きれいな非自明解がある:
43 + 53 = 7⋅33
実際、左辺は 64 + 125 = 189、右辺も 7⋅27 = 189。
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2025-11-04 x3 + y3 = 2z3 虫食いパズル
パズル《3個の3乗を足して3》 三つの空欄に当てはまる整数(等しいとは限らない)は?
(□/4)3
+ (□/6)3
+ (□/12)3 = 3
よくある「四つの 4 で~を作れ」と同種の、数字の遊戯。 □ に当てはまる数はおおむね1桁、最大でも10台なので、ブルートフォース(全パターンを試すこと)で答えを見つけることは易しい。とある錯覚に陥らなければ…
「フェルマーの最終定理の拡張」には、こんな娯楽パズルのようなものも含め、いろんな話題がある。前回、 x3 + y3 = 3z3 には(x = −y かつ z = 0 の自明解を除いて)整数解がないことを証明した。その定理の簡単な応用として、「二つの有理数 p, q をそれぞれ立方して足し合わせても、 3 に等しくすることはできない」。実際、 p, q を(必要なら)通分して
p = x/z, q = y/z (x, y, z: 整数)
と書いたとして、もしも
p3 + q3 =
(x/z)3
+ (y/z)3 = 3
が成り立つとしたら、両辺を z3 倍することで、
x3 + y3 = 3z3
を得る。だが上記の定理により、この式に解はない! p = 0 つまり x = 0 の場合にも解はないので、 03 + q3 = q3 = 3 の解 q = 3√3 =
1.4422495703… は、整数の比 y/z の形で書けないことも分かる。 3√3 が無理数であることの、風変わりな証明法。
「有理数の立方」が 3 に等しくならないのは、立方根が無理数なのだから当然だけど、上記によると「有理数の立方」を二つ足し合わせても、決して 3 に等しくならない。このことは意外ではないが、自明でもない。ここで「立方根は無理数なのだから、有理数の立方を幾つ足し合わせても 3 になるわけないに決まってる」と早合点してはいけない。冒頭のパズルのように「有理数の立方」を三つ足し合わせるなら 3 を作れる。実は「有理数の立方」を三つ足すと、どんな整数・有理数でも作れるのだッ!
この事実は多少意外な感じがするし、「一体なぜ?」「どうやって?」と好奇心を刺激する。
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2025-11-01 x3 + y3 = 3z3 フェルマーの最終定理の拡張
フェルマーの定理によると
x3 + y3 = z3
を満たすような、 0 でない整数 x, y, z は存在しない。それでは、
x3 + y3 = 2z3
x3 + y3 = 3z3
x3 + y3 = 4z3
︙
は、どうか? つまり立方数と立方数の和が、立方数の整数倍になることが、あるだろうか?
x3 + y3 = 2z3 については、
53 + 53 = 2 × 53 つまり 125 + 125 = 2 × 125
のように x = y = z ならいつでも式は成り立つが、この「自明」な(当たり前でつまらない)パターンを除外して「整数 x, y, z がどれも 0 でなく、全部等しくもないという条件の下で x3 + y3 = 2z3 に解があるか」と問うことにしよう。より一般的に k を整数の定数として、 x3 + y3 = kz3 に非自明な解があるか。
k = 1 の場合に解がないというのが、いわゆる「フェルマーの最終定理」の指数 3 の場合(証明済み)。 k = 2, 3, 4, ··· などについて若干の試行錯誤を行うと、どれもこれも解がないのではないか、という気がしてくる。ところが、
43 + 53 = 64 + 125 = 189
は、桁の和が 9 の倍数なので 9 で割り切れる。 189 = 21 × 9 = (7 × 3) × (3 × 3) だ。これは、
43 + 53 = 189 = 7 × 33
を意味するので、少なくとも k = 7 の場合の x3 + y3 = 7z3 には、立派な解 (x, y, z) = (4, 5, 3) があるっ。それほど立派ではないかもしれないが、
23 + (−1)3 = 7 × 13
なので (2, −1, 1) も解だ。 k = 7 の場合より見つけにくいが、実は k = 6 の場合にも2桁の整数解がある。
一般の k についての x3 + y3 = kz3 は見掛け以上に深い問題だが、だからこそ興味深い探検ができるかもしれない。「k = 3 の場合に解がないこと」に話を限ると、オリジナルのフェルマーの定理とほとんど同様に証明できるので、そこから手を付けるのが順当だろう。
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「チラ裏」は、きちんとまとまった記事ではなく、断片的なメモです…
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2025年9月26日 フェルマーの最終定理 n = 7 の場合
2025年5月31日 四次元サイコロ「目」は幾つまで?
2025年4月14日 「ニュートンの式」軽妙な入門 ライヒシュテインによる
2025年4月6日 1 + 1/22 + 1/32 + … = π2/6 の別証明 ☆総和記号不使用☆
2025年1月16/19日 なぜ 1 + 2 + 3 + 4 は 5 の倍数か? / 12 + 22 + 32 + 42 + 52 も 5 の倍数
フォン・シュタウト&クラウセンの定理
2025年1月11日 Verlaine の「秋のうた」 日本語訳3種+原文解説
2024年6月11日
Linux の Live OS 気軽にいろいろ試せるよ
2024年4月11日 正17角形は作図可能? 複素数を使わない気軽な散策
2024年1月12日 十六元数の零因子 君は 0 を割ることができるか?
初等的証明に成功! 世界初かも?
2024年1月17日 Moufang 恒等式の同値性 初等的証明
これも(ネットでは)世界初かも。教科書的には autotopism を使うのだが、そんなややこしい概念は必要ない。
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〘→ 最近のメモは「遊びの数論」に〙
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